運転中のイライラは二酸化炭素が原因!?かなりヤバイ内気循環の実態
運転中になぜかイライラすることはありませんか?
普段は優しい温厚な人なのに運転すると性格が変わる、妙に攻撃的になる、そんな人いませんか?
もしかしたら、それ車内の二酸化炭素が原因かもしれません。
内気循環と外気導入
まずは簡単に内気循環と外気導入の違いを見てみたいと思います。
内気循環
外気を車内に入れずに車内の空気を循環させる。
主にトンネル内や早く冷暖房したい時のみ
外気導入
積極的に外の空気を車内に取り入れて換気する。
通常は外気導入にしておく
運転中は基本的に外気導入にしておき、例外的に一定時間のみ内気循環を使用するという使い方が正しい様です。ちなみに、車によっては安全のために一定時間を経過すると自動的に内気循環が切られて外気導入になるものもあります。
内気循環は二酸化炭素濃度が急上昇
先日、JAFが運転中の車内の二酸化炭素を調べる実験を行い、その結果を発表しました。
実験の条件は以下の通りです。
- 車は日産 セレナ
- 1台は「内気循環」、もう1台は「外気導入」固定
- それぞれに4人乗車
- エアコンは26℃オート設定
要は「内気循環」と「外気導入」で車内の二酸化炭素濃度がどの様に変化するかを測定しています。
その結果、内気循環の車両はスタート直後からぐんぐんと車内の二酸化炭素濃度が高くなっています。
対して外気導入はほぼ1000ppmを保っています。
市街地
市街地において、内気循環だと車内の二酸化炭素濃度はどんどん上がり続け、60分後には6770ppmとなり内気循環と比べて約5倍の数値になっています。
高速道路
高速道路では、内気循環の二酸化炭素濃度はスタートから60分後には約4520ppmまで上昇。
外気導入の数値が40分後に上昇しているのはトンネル内を走行した際に一時的に二酸化炭素濃度が上昇しています。高速道路は市街地に比べると内気循環の数値は低くなっていることがわかります。
これは速度が高いために内気循環と言えど車内の空気が外に流れ出ていくことが要因だと思われます。
つまり、市街地などの低速走行時の方が内気循環での車内の二酸化炭素濃度が上がりやすいと言えると思います。
二酸化炭素が人間に与える影響
二酸化炭素は人間にとって有毒な気体ですが、その二酸化炭素が人間に与える影響は以下の通りです。
人体への影響
二酸化炭素濃度 | 人体への影響 |
360ppm | 特になし |
5,000ppm | 労働衛生上の許容濃度(1日8時間労働) |
18,000ppm | 換気を50%増加する必要があります。 |
30,000ppm | 呼吸困難にいたる。頭痛、吐き気、弱い麻酔性を伴う、視覚が減 退し、血圧や脈拍が上がる。 |
40,000ppm | 頭痛が激しくなる。 |
50,000ppm | 30分後に毒性の兆候が現れ、頭痛やめまいのほかに、発汗する。 |
80,000ppm | めまいがして、人事不詳の睡眠状態に陥る。 |
90,000ppm | 血圧が失われ、充血して、4時間後死ぬ。 |
100,000ppm以上 | 視覚障害、けいれん、呼吸激しくなり、血圧が高くなって、意識が失われる。 |
250,000ppm | 中枢神経がおかされ、昏睡、けいれん、窒息死。 |
上記は数万ppmという桁違いに二酸化炭素濃度が高い時の人体への影響です。
もはや人が生きるか死ぬかという濃度です。そこまで高い数値でなくても、以下の様な影響が報告されています。
1,000ppm 思考力に影響し始める
2,000ppm 眠気を感じる人が出てくる
3,000ppm 肩こりや頭痛を感じる人が出てくる
3,000ppm以上 集中力や意思決定に支障をきたす
これを見ると、車で内気循環にするとすぐに「集中力や意思決定に支障をきたす」状態になることがわかりますね。5,000ppm以下程度では人体に影響を与えるレベルではないものの、運転の様な長時間にわたって集中しなければならない状況だと、確実に何らかの影響を与えていると考えられます。
濃度とその目安
300ppm | 大気中の二酸化炭素濃度の数値 |
300〜1,000ppm | 十分に換気されている屋内の数値 |
2,000〜5,000ppm | 換気の悪い屋内の数値 |
5,000ppm以上 | 作業場所としての限界値 |
40,000ppm以上 | 酸素障害や脳へのダメージがある数値 |
その他、身の回りの二酸化炭素濃度の目安としては以下の通りです。
東京・新宿の路上・・・450
地下鉄駅の改札口付近・・・700ppm
羽田空港の内エレバーター・・・1,350ppm
首都高速道路・・・2,800ppm
閉め切った自動車内・・・5,000ppm
映画館内・・・1,100ppm
比較的すいた地下鉄車両内・・・1,500ppm
かなり混んだ地下鉄車両内・・・3,800ppm
とあるサラリーマンが触れる一日の二酸化炭素濃度の変化
6時起床
7時30分に電車で出勤
9時〜18時まで会社
21時に電車で帰宅
23時30分就寝
グラフを見ると7時30分と21時の時間帯に電車に乗っており、そこが最も二酸化炭素濃度が高くなっています。ただ滞在時間で見ればそれほど長くはありません。最も濃度と滞在時間が長いのは自宅となっています。このグラフで最も高い二酸化炭素濃度は電車に乗ってる時ですが、それでも2000ppm程度です。
いかに車内で内気循環した時の二酸化炭素濃度が高いかがわかるかと思います。
各種の安全基準値
厚生労働省 建築物環境衛生管理基準 | 1,000ppm以下 |
事務所衛生基準規則 | 1,000ppm以下 |
学校環境衛生管理マニュアル | 1,500ppm以下 |
正しい内気循環と外気導入の使い方
基本的にはずっと外気導入にしておきましょう。
ただし、以下の様な場合には一定時間だけ内気循環にします。
- トンネル内
- 前方の車の排気ガスが臭い場合
- エアコンを使用する時
エアコンを使用する時は、内気循環の方が外気を取り込まない分、効率が高いのも事実です。
外気を取り込むと、その都度その外気によって上げられた温度を冷やさなければならないからです。
エアコンで内気循環を使用する場合は、最低でも1時間に1回は外気導入に切り替えて換気しましょう。
仮に車内の二酸化炭素濃度が5,000ppmまで上がっても、外気導入に切り替えて15分もすれば1,500ppmまで下げることができます。ですから、内規循環1時間⇨外気導入15分を繰り返せば車内の二酸化炭素濃度を低く抑えることができます。
ただし、運転中にそんなに頻繁に操作を繰り返すのは正直面倒ですし、操作中に前方不注意で事故を起こしてしまっては意味がありませんので、基本的には外気導入が良いでしょう。
ちなみに、窓を開けると大気中と同じ500ppm程度にまで下げることができますが、窓を閉めていても外気導入であれば1,000ppm程度に抑えられますので十分と言えます。
まとめ
車内の二酸化炭素濃度は、内気循環にすると驚くほど高い数値になることがわかりました。
車の運転をすると人が変わったかの様にイライラする人は、外気導入にして積極的に外気を取り込む様にしましょう。また知り合いでその様な人の運転する車に同乗する際には、そっと空調を外気導入にして車内から二酸化炭素を取り除いてあげましょう。
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