「ヘッドライトは夜になったらつける」は間違い!?

予防安全

突然ですが、あなたがヘッドライト(前照灯)を点灯させるのは、どのタイミングですか?

「夜になったら」という人は多いのではないでしょうか。

これ、間違いじゃないんですが、正解ではありません。
△(さんかく)といったところでしょうか。

でも、実際に教習所では教えてくれませんよね。
というわけで、今回はヘッドライトを点灯するタイミングについてお教えします。

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ヘッドライトの役割は暗闇を照らすだけじゃない

ヘッドライト(前照灯)は暗い夜道を照らして「自分が道路などを認識する」ためのモノじゃありません。

もう1つ重要な役割として、「他人に自分を認識してもらう」という目的があります。

あなたは運転中にこういったシーンを見た事はありませんか?

上記2枚の写真はどちらも昼の時間帯です。
霧によって前方にある車が見えにくくなっているにも関わらず、どちらもテールライトが点灯してません。

夜だけじゃなく、昼であっても、「濃霧」「雪」「大雨」などで前方の視界が悪くなるケースはあります。

「自分が見えるから必要ない」といってライトを点灯させないと、
周りの車からあなたの車は認識できていない可能性があります。

このような深い濃霧の場合、リアフォグランプを点灯させることも有効です。

左側のテールランプよりも、右側で点灯してるリアフォグランプの方がはっきりと認識できることがわかります。

道交法違反

夜に無灯火で走行すると道交法違反になることを知ってる人は多いと思います。

実は夜だけじゃなく、トンネル内や上記の霧などのシーンでも無灯火で走行すると違反となる場合があります。

車両等は、夜間(日没時から日出時までの時間をいう。以下この条及び第六十三条の九第二項において同じ。)、道路にあるときは、政令で定めるところにより、前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない。政令で定める場合においては、夜間以外の時間にあつても、同様とする。

第三章 車両及び路面電車の交通方法 内 第十節 灯火及び合図 内(車両等の灯火)
第五十二条

これに違反すると、大型車で7000円、普通車・二輪車で6000円、1点が加算されてしまいます。

早い時間の点灯で事故を避けられる

道交法を守る事は重要ですが、それよりもあなたや同乗者が安全であることが最も重要なことです。

真っ暗になる前に、早め早めの点灯で事故率を大幅に下げることができます。

車同士の事故で最も多いのは追突事故です。
特にトンネル内では、トンネル外と比べて事故率は2.3倍となっています。

トンネル内では一瞬暗くなるため、目が慣れるのに時間がかかります。
目が慣れるのにかかる時間は年齢によって異なり、20代〜30代では平均8秒で回復するのに対し、
70代〜80代の高齢者では24秒という結果が出ています。

つまり自分は20代〜30代であっても、後続を走る車が高齢者であれば24秒ほどは目がよく見えない状態であると言えます。

こちらは、時間帯別の死亡事故件数です。
16時〜19時が最も多くなってることがわかります。

つまり、薄暗くなり始めてから、暗くなるまでの間に事故が起きることが多いと言えます。

ある大手運送会社の調査によれば、昼間からヘッドライトを点灯することによって、3割の事故を減らせたとのこと。
また別の調査によれば3ヶ月のテスト期間中に人身事故の件数が33%減少、追突事故は78%減少したらしい。

早期にライト点灯をスローガンに「おもいやりライト」なんていう運動もあります。
「おもいやり」なんていうと他人のためにライトをつけるという風に感じられますが、
ライトをつけずに事故を起こしたら困るのは運転手である自分自身です。

自分や大切な同乗者のために早めのライト点灯を心がけたいところです。

欧州ではデイライトが標準に

北欧などは前照灯を昼間から点灯させることが義務となっています。
スウェーデンが世界で1番早く1977年から、フィンランドは1997年、ノルウェーは1988年、デンマークは1990年から義務付けられました。

これらの前照灯(ヘッドライト)を昼間から点灯することをデイライトと言います。
一方で、主にLED式の常時点灯ライトでヘッドライト付近に装着されるユニットをデイタイムランニングライト(DRL)と呼びます。

このDRLはヨーロッパでは2011年から義務化されています。

アウディのDRL

オートライトはメーカによってこんなにタイミングが違う

オートライトとは、周辺の環境に合わせて自動でヘッドライトを点灯させる機能です。
各メーカーでオプションなどで用意されていることが多いです。
ただし、オートと一言で言っても、実はメーカー毎に点灯するタイミングが異なります。

こちらはとある実験の様子
テスト対象は、以下の5車両
①トヨタ クラウン
②日産 フーガ
③ホンダ レジェンド
④メルセデスベンツ Cクラス
⑤アウディ A4

夕方の17時45分から実験スタート

まず1番乗りでヘッドライトが点灯したのは、アウディA4
まだ周りも明るい18時12分

2番目は以外にも日産フーガ
アウディから約2分遅れの18時14分

その日産フーガから遅れること約5分
3番目はメルセデスベンツCクラス
時間は18時19分

だいぶ暗くなってきた18時40分
4番目はトヨタクラウン

そんなトヨタクラウンから遅れること10分
最後に点灯したのがホンダレジェンドでした

ただし、オートライトの感度は車種によっては調整できるものもあるので、
これはデフォルトの値と考えれば良いでしょう。

アウディA4は、まだまだ明るい時間帯から付いていることがわかります。
おそらくオートライトじゃなくて手動でつけるタイプだったら躊躇するぐらいの明るいさだと思います。
しかし、そこは安全性を優先するお国柄。
自分の車を周りに認識させる目的で早めの点灯設定にしてるのでしょう。

一方で1番遅かったホンダレジェンドは、明らかに自分から周りを照らして確認する目的で設定されていることがわかります。
つまり、周りから認識されるという目的は薄いと言わざるを得ません。

輸入車は一般的に早めにヘッドライトが点灯する場合が多く、
国産車は遅い傾向があります。

国産車にお乗りの方は、意識的に早めの点灯をすることで、
自分の車を周りに認識してもらい、つまらない貰い事故を減らすことができます。

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