ミゾのないタイヤで雨の高速道路を走るとこうなる
ハイドロプレーニング現象
車を運転する人なら一度はその名前を聞いたことのある人も多いかと思います
ハイドロプレーニング現象は、タイヤと路面の間に水が入りタイヤが浮いてしまう現象です
難しい名前ですが、車を運転する誰にでも起こりうる危険な状態です
このハイドロプレーニング現象について、発生するとどうなるのかわかりやすい動画がありますのでご覧ください
ハイドロプレーニング現象の動画
これは「ウェット旋回ブレーキ」という車の試験中に発生した、ハイドロプレーニング現象の映像です
「ウェット旋回ブレーキ」は、濡れた路面に時速100kmで侵入し、ハンドルを切って曲がるテストです
本来は曲がるはずなのに、ハイドロプレーニング現象によって直進してしまっています
この時、ドライバーはハンドルを切ってブレーキを踏んでいますが、全く制御が効いていません
車はコルベットのZ06というスポーツカーですが、一般の車でも条件が揃えば十分に起こり得る現象です
ハイドロプレーニング現象について
簡単に説明すると、
大量の水がタイヤと路面の間に入り込み、タイヤが路面から浮いた状態になってしまう現象のことです
タイヤは車と路面が唯一接してるポイントですから、ここが浮いてしまうと車のすべての制御が効かなくなります
タイヤには溝がありますが、この溝が前から入ってくる水を後ろに掻き出す(排水)する役割を持っています
ですから溝が少なくなってくると、排水する性能が下がってくるのでタイヤが浮き上がりやすくなります
このハイドロプレーニング現象は、主に以下のような時に発生しやすくなります
- スピードが高い(→高速道路)
- 溝が少ない(→5部を切る)
- 車両重量に対してタイヤが太い(→スポーツカー)
- 水深が深い(→大雨)
- タイヤの扁平率が高い
一般的にスポーツカーと呼ばれる車は、タイヤが太い割に車両重量が少ないため、タイヤの1㎠あたりの面圧が低くなりがちです
面積に対する圧力が少ないということは、タイヤが浮き上がりやすくなる原因になります
聞いた話ですが、ハイドロプレーニング現象が起こるとタイヤが路面から離れるのでロードノイズがしなくなり、その瞬間は静かになるらしいです。
スピードと溝の関係
上記の画像はブリジストンが発表しているものです
タイヤの溝の深さとスピードの関係が、どのようにハイドロプレーニング現象を引き起こすのか、という試験結果です
例えば、新品タイヤの車が時速60kmで走行してる時、タイヤはほぼ路面に接地しています
しかし時速80kmになると少し浮き始め、時速100kmでは多くの部分が浮いてしまってることがわかります
また、タイヤの溝が3.2mmにまで減っていると時速80km程度でも一部でタイヤが浮いていることがわかります
タイヤの溝が3.2mmというと、一般的には5部山程度となりますが、5部山でもすでに危険域に達してることになります
でも実際、5部山でタイヤを交換してしまう人は少ないでしょう
多くの人は車検のラインである1.6mmまでは使えると考えている人が多いと思いますが、高速道路を走る場合は5部山程度で危険な領域になることは覚えておいた方が良いと思います
メーカーがタイヤを売りたいだけでは?
こういう試験結果を見ると、
「メーカーがただタイヤを売りたいだけなのでは?」
と思いがちです
5部山でタイヤを交換してくれれば、現在の車検ラインである1.6mmよりも早いサイクルで交換することになりタイヤが多く売れるからです
ただ、上記の動画でやってるDST(ダイナミックセーフティテスト)を見てるとわかるのですが、DSTの試験結果でもやはり溝が5部を切るとハイドロプレーニング現象が出ることが他の動画を見ているとわかります
つまり、仮に5部山程度でもスピード域が高いと危険だというブリジストンの発表は間違っていないわけです
雨の高速道路
この状況は大雨の高速道路上で発生します
道路上に水が溜まっていて、そこを溝の少ないタイヤで通過すればハイドロプレーニング現象が起きます
日本の高速道路は雨が降ると速度が80kmに制限されますが、あれって結構理にかなってるわけです
時速80kmであれば、仮にタイヤの溝が5部山でもそれなりに安全に走れるからです
まとめ
タイヤの溝は排水性能に関わってくるので、高速道路をよく走る人はタイヤの溝が5部山を切ったら交換を検討した方が良いでしょう
スピードを出す人、スポーツカーの人はなおさらです
反対に、低速走行しかしない、近所のお買い物くらいにしか使わないのであれば、きっちり車検ギリギリのスリップサイン(1.6mm)まで使えっても問題なさそうです
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