いま流行のDCTとは?ATとの違いは?向き不向きがある?

豆知識

いま流行、というかむしろ「今さら」感すらあるDCT(デュアルクラッチトランスミッション)ですが、知らない人もいると思うので改めて説明してみたいと思います

なのでどちらかと言うと、今までAT車に乗ってたけど、これからDCTの車を検討してる人向けの記事になります

DCTは欧州車を中心に採用が増えていて、最初は低排気量のファミリーカーが中心でしたが最近ではハイパワーなスポーツカーにも採用されるようになっています

そのDCTについてのメリットとデメリット、ATの違いや向いてる人・向いてない人を実際にDCTの車に乗ってる人間の私見を含めて紹介します

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DCTとは?

めっちゃ簡単に言うと

MT車と同じ変速機(トランスミッション)のなかに小さいおじさんがいて、車速に応じて適切なギアをおじさんが選択してくれる変速機、と思えばOKです

DCTは名前の通り2枚のクラッチ板を使って交互にギアを切り替えます(ASGは1枚)

DCTは本来、MT車に近い変速機なのでMT車の良いところをいっぱい引き継いでいます

しかも変速自体はおじさんが担当してくれるので、MT車と同じ変速機であるにも関わらずAT免許で乗ることが可能です(運転手が変速する必要がないから)

変速おじさんバンザイ

主な搭載メーカー

VWグループ全般(VW、ポルシェ、アウディ、ランボルギーニ)やBMW、メルセデス・ベンツ、ボルボ、ルノーなど多くの欧州車が採用しています

日本車では現行の日産GT-Rなど

良い点

燃費が良い

これ実はあまり自動車評論家は言わないことなんですけどDCTの最大のメリットは燃費が良いことです

後述するトルコン式ATとは違い、液体を介さないで動力を伝達するので効率がめっちゃいいからです

基本的にはMTと構造が同じだから変速ロスが少ないです

具体的な数字は車によっても違うだろうけど、多分全く同じ車でトルコン式ATを使う場合よりも15%くらいは燃費が良いんじゃないでしょうか

従来のATに乗り慣れた人なら

「え?こんなに車両重量がある車なのに、なんでこんなに燃費が良いの?」

と体感できるレベルで燃費がトルコン式ATとは違います

変速が早い

それと、これはあまり知られていないかもしれないけど変速(ギアが切り替わる速度)が早いです

例えば従来のトルコン式ATは加速時に「ゔ〜〜ん(2速)、、、ゔ〜〜ん(3速)、、、」と変速時にギアの切り替えに時間がかかってるのが音で体感的にもワカリマス

けどDCTはコンマ何秒と言ったほぼ一瞬に近い変速スピードで、スポーツカーのように気持ち良くギアが切り替わります

ギアとギアの継ぎ目がなくて、シームレスな加速を体感できます

実はギアの切り替わりが早いってのはスポーツカーでは重要な要素でもあるので、最近のスポーティーなモデルでも採用が増えています(ギアが繋がっていない時間は空走時間になってしまうので)

よくDCTは「変速ショックが大きくてあまりよくない」なんて言われますが、それは低速時での話

一旦速度に乗ってしまえば(20km/h以上)、実に気持ちよく歯切れよく変速していきます

つまりDCTは本来、ある程度速度が出てからが本番の変速機なんです

ダメな点

トルコン式ATの様に流体を介していないので、低速(0km/h〜10km/h)時に変速ショックがあります

極端にひどいものだと、がっくん、がっくんと頭を前後に揺すられるくらいのショックの大きさ

最近のDCTは出始めに比べてだいぶ変速ショックは少なくなってきたものの、それでもやっぱりその辺はトルコン式ATにはかないまへん

これがどれだけ我慢できるかは、はっきり言って運転する環境と車と人によります

それから一部のDCTでは不具合が起きていて、ジャダーが起きることがあります

ジャダーとは?

ギアの切り替わり時に発生するブルブル、ガクガクといった振動のこと。主に低速時で良く起こる

ATとの違いは?

ここで言うATとは、従来のトルコン(トルクコンバータ)式ATのことです

トルクコンバータ式ATと言うのは、オートマ車が出来た当初から採用されてるオーソドックスな変装機です

内部の液体(ATF)を介してエンジン側とタイヤ側の2つの回転差を吸収します

良い点

液体を介してトルク差を吸収してるので、変速ショックがめちゃくちゃ少ないです

はっきりいって変速時の滑らかさではDCTは敵ではありません

ダメな点

燃費が悪い

ギアとギアの切り替わる変速時間がDCTと比べて遅い。DCTに乗った後だともっさり感すら感じます

DCTが向いてる人・向いてない人

長距離を良く走る人。お買い物とかのチョイノリをあまりしない人

DCTは上述の通り、低速での変速ショックがトルコン式ATを比べて大きいので、渋滞や街乗りみたいな低速での運転を繰り返す人には向いていない変速機です

ただひたすらガックンガックンするだけで、DCTのメリットを感じられないでしょう

ATは高級化へ

オートマの車が出始めた頃はどんな車にもトルコンを使ったATが採用されていました

しかし最近は燃費の良い車が売れるので、そう言った意味でDCTは今後も採用が増えていくでしょうね

従来のトルコンを使ったATは、これからはむしろ高級車に採用される様にシフトしています

例えばアウディでは、A1,A3,Q3,Q5と言った比較的低グレードの車にはSトロニックと呼ばれるDCTを採用していますが、Q7の様な高級SUVではしっかりとティプトロニックと呼ばれるトルコン式ATを採用しています

高級車ユーザはそこまで燃費を気にしないし、むしろ変速ショックが少ない方が好まれるからです

そういう意味でトルコン式ATは高級な変速機になってきています

変速機自体の値段は大したことありませんが、その構造ゆえの燃費の悪さで高いコストを払う必要があるからです

オートマ車が登場した当時は、AT車に乗る人なら誰もが利用する変速機だったのに、今となってはお金持ち専用の変速機になってきてるだなんてなんか面白いですね

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